自動車業界の仕事は今後も需要が高まりつつある職業であり、仕事がなくなることはありません。しかしどんなに需要の高い仕事でも、やはり将来性が気になるという方もいるでしょう。
この記事では自動車整備士の将来性や自動車業界のニーズの高さ・転職を成功させる3つの方法について解説します。
自動車整備業界の現状

これは自動車整備士業界に限った話ではありませんが、近年、日本は少子高齢化の影響で働き手が不足しているのが現状です。
日本国内の整備工場の約5割が人手不足と言われており、特に従業員数が10名を切る中小整備工場では、整備士1人あたりの業務負担がかなり大きくなるなど、人手不足がより一層深刻な問題となっています。
以下のグラフは、2017年から2021年にわたる、自動車整備士とその他全職種の求人倍率の推移です。自動車整備士の求人倍率は、他職種の平均を4倍近く上回っていることがわかります。
整備工場を運営する場合、地方運輸局長から指定された指定工場では工員数が最低4名、認証を受けた認証工場では最低2名必要ですが、最低人員での運営を余儀なくされている整備工場が増えています。この状況は、店舗数の多いディーラーでも例外ではありません。
背景には、近年若者の自動車離れが進んでおり、それに伴い整備士を目指す人も減っていることがあります。定年を迎える整備士に代わって入社する若い人材が不足しているため、整備士の平均年齢も年々上昇しています。
自動車整備士の将来性は?

先述したように、若者の自動車離れが進んでいる昨今ですが、インフラ整備がされていない地域では、移動手段として自動車を使用する方がまだまだ多く、1人1台が当たり前というケースも考えられます。
そのため、今後も自動車整備士の価値が下がるとは考えにくく、生活になくてはならない職業であることは間違いありません。
自動車整備士の平均給料は年々上昇している!
人手が足りていないことからどの企業も働き手を募集しており、比較的働き先を見つけやすいという状況の整備士ですが、平均給料は年々増加の傾向を辿っています。
日本自動車整備振興会連合会が出している報告書には、整備士の平均年収が前年比1.4%(57,000円)増になっていることが記載されています。
(7)整備要員平均年収整備要員平均年収(自家を除く)は4,044千円、前年度と比較すると57千円(1.4%)増加しています。 |
また、以下は自動車整備士の年収の推移表です。表からもわかる通り、整備士の平均年収は年々上がっていることがわかります。
平成29年度 | 30年度 | 令和元年度 | 2年度 | 3年度 | 4年度 | |
整備要員平均年収(千円) | 3,875 | 3,911 | 3,924 | 3,963 | 3,987 | 4,044 |
今後も、人手不足にともない一層ニーズが高くなることを考えても、さらに上がっていくことが見込まれます。
また現在、整備士不足の解消を目指し、ディーラーを中心に従業員満足度の改善も図られています。給与の額面だけでなく、働きやすい環境が今後整っていく期待も持てるでしょう。
自動車整備士業界の今後の動向

自動車業界の今後の動向として、以下のような変化を予想することが出来ます。
グローバル化の波が強まる
大手ディーラーでも、自動車整備士の人手不足解消のために、外国人整備士を積極的に採用する企業が増えてきました。
トヨタやホンダ、日産などの自動車整備士は技術力に定評があり、日本車メーカーの整備士を目指す外国人も増加傾向にあります。
身近な整備工場やディーラーなどでも、外国人の自動車整備士と一緒に働く機会が多くなるでしょう。特にマネジメントする立場であれば、外国人の部下とも上手くコミュニケーションをとることが求められています。
求められる仕事内容が変化する
自動運転システムを搭載した自動車の普及などを背景に、今後は、単に車の整備だけを行うのではなく、ITやコンピューターにも対応できる整備士が求められています。
また、昨今は電気で動く「電気自動車(EV)」も普及してきています。そのため、今まで主流だったエンジン車の整備知識だけでは、ニーズに対応できなくなるでしょう。
自動車整備士に今後求められること

自動車整備士への転職を成功させるポイントは、3つあります。
ポイント1.特定の分野に特化したスキルを習得する
自動車整備に関わる幅広い知識を持つことは整備士としてもちろん重要ですが、「ある特定の分野に特化した整備士」も貴重な人材です。
実際に「ハイブリッドカー特化型」や「スポーツカー専門店」など、ある特定の分野に特化した整備工場は存在します。知識を習得するための勉強や実務を通じて経験を蓄積することが求められますが、特定の分野に強みを持つ自動車整備士になれば、転職でより条件の良い職場に移ることも可能です。
ポイント2.次世代自動車に対応できるようIT知識を学ぶ
ハイブリッド車や電気自動車のような次世代自動車には、専門的な知識や技術を要するシステムが多く採用されます。
次世代自動車の普及が今後さらに進めば、先進技術・機能をメンテナンスできる知識やスキルを持った整備士のニーズは高まるでしょう。
また、他の整備士と自分との差別化にも繋がります。自動車整備士としての市場価値を高めたいと考えているのであれば、IT知識の習得を前向きに検討してみるべきだといえます。
なお、「1級整備士」は次世代型自動車の知識が身に付けられるため、早いうちに取得しておくのがおすすめです。
ポイント3.自動車業界全体の動向にアンテナをはる
自動車業界は今後、経営の安定化を図って「事業の多様化」を検討する整備工場が増えることが予測されます。
代表的な具体例としては、カーシェアリングやカーリース、ロードサービス、中古車事業などが挙げられます。
自動車整備士にとって、整備業界の動向を把握するのはもちろん大事なことですが、整備業界を飛び越え、自動車業界全体について理解しておくと、今よりもさらに視野が広がり、転職先の幅が広がります。
まとめ

自動車整備士のニーズと将来性は今後も期待できます。しかし、いくらニーズが高くなると言っても、自身のスキルアップや知識の習得なしではいけません。
今後はIT技術の点検および整備に柔軟に対応でき、日頃の努力で高い技術力を身に付けた整備士が求められるようになるでしょう。自動車整備士として働き続けるためには、時代の要請を自身のスキルに反映させることも必要です。
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