ディーラーで働く自動車整備士の平均年収は?年収アップの方法も解説

ディーラーは、自動車整備士の代表的な活躍の場の一つです。転職時にディーラーを希望するケースも多く見られますが、ディーラーの平均年収や業務内容は整備士にとって魅力的なものなのでしょうか?

今回は、ディーラーで働く自動車整備士の平均年収、職場としてのディーラーのメリット・デメリット、年収を上げる方法などについて解説します。

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ディーラーとは?

ディーラーは、販売業者やメーカー特約販売店を意味する言葉です。自動車業界では、自動車メーカーやメーカー系の販売会社と特約店契約を結んだ店舗をディーラーと呼びます。カーディーラーが取り扱うのは、特定のメーカーやブランドの自動車だけです。

大多数のディーラーは、新車だけでなく中古車の販売も行っています。定期点検や車検、修理といったサービスも実施しています。

ディーラーで自動車整備士が担当する主な業務は、以下の通りです。

  • 納車前・納車後の車両点検
  • 部品の交換
  • 車両の修理
  • 車両の整備・メンテナンス
  • 顧客対応
  • メーカーとの連絡・交渉

ディーラーの自動車整備士の平均年収は?

ディーラーで働く自動車整備士の平均年収と、過去5年間の平均年収の推移を紹介します。

ディーラーで働く自動車整備士の平均年収

日本自動車整備振興会連合会が実施した、令和4年度の「自動車特定整備業実態調査」によると、ディーラーで働く整備士の平均年収は、480万5千円です。整備士全体の平均年収は404万4千円で、ディーラーの整備士は、全体よりも約76万円高い年収を得ていることになります。

自動車整備士の平均年収推移(全体・ディーラー)

自動車整備士の平均年収の過去5年間の推移は、緩やかな増加傾向にあります。ディーラーで働く整備士の平均年収の上昇分は、過去5年間で約14万円です。

出典:令和4年度 自動車特定整備業実態調査結果概要

ディーラーの種類とそれぞれの平均年収

ディーラーは国内メーカー系列、外資系メーカー系列などの種類に大別されます。ここでは、ディーラーの種類別に年収水準を見ていきましょう。

  • 1.国内自動車メーカー系列
  • 2.外資系自動車メーカー系列
  • 3.サブディーラー

1. 国内自動車メーカー系列

トヨタやホンダといった国内自動車メーカー系列のディーラーでは、整備士の初年度の年収目安は、440~470万円です。民間の自動車整備工場と比べて、50~80万円ほど高い平均年収となっています。

国内メーカー系列のディーラーで得られる年収は、整備士としての経験年数や保有資格などに応じて、平均よりも高くなることが期待できます。

2. 外資系自動車メーカー系列

高級車を多く取り扱うベンツやBMWといった、外資系自動車メーカー系列のディーラーで働く整備士の平均年収は、初年度で490万円程度です。国内メーカー系列のディーラーよりも20~50万円高い水準となっています。保有する資格やスキルなどに応じたインセンティブが設定されている会社が多いことも、外資系ディーラーの特徴です。

整備士としてのキャリアを積み、整備部門の責任者や店長といった役職に就けば、年収1,000万円以上を得ることも可能です。

3. サブディーラー

サブディーラーは、特定のメーカーと特約店契約を結んでいない自動車販売会社です。メーカー系列のディーラーとは異なり、大多数のサブディーラーでは、複数のメーカーやブランドの自動車を取り扱っています。自動車メーカーから車両を仕入れるのではなく、ディーラーから仕入れる点もサブディーラーの特徴の一つです。

サブディーラーが提供するサービスは、メーカー系列のディーラーと同様、新車や中古車の販売、定期点検、修理、メンテナンスなどです。整備工場を持たないサブディーラーの場合は、ディーラーの整備工場へ点検や整備、修理などの業務を委託します。

サブディーラーの年収目安は、企業規模や主な取り扱い車種などによって大きく異なります。求人票に記載された給与に関する情報を慎重に確認しましょう。

ディーラーで自動車整備士として働く4つのメリット

ディーラーで整備士として働くことで期待できる、4つのメリットについて説明します。

  • メリット1. 給与水準が高い
  • メリット2. 評価制度が整備されている企業が多い
  • メリット3. 社員教育が充実している企業が多い
  • メリット4. 最新の知識・スキルを習得しやすい

1. 給与水準が高い

ディーラーと民間の自動車整備工場での整備士の年収水準には大きな差があります。ディーラーの平均年収が約480万円であるのに対し、自動車整備工場の平均年収は約370万円です。

2. 評価制度が整備されている企業が多い

多くのディーラー、特に大手メーカー系列のディーラーでは、社員の昇給の判断基準となる評価制度が整備されています。仕事の実績や経験、取り組む姿勢などが年収に反映されやすい環境だといえるでしょう。

3. 社員教育が充実している企業が多い

ディーラーの大多数は、自動車整備士のスキルや専門知識を伸ばすレベルの高い教育・研修カリキュラムを導入しています。自社の業務に即した独自資格・検定制度を設けている企業も少なくありません。

4. 最新の知識・スキルを習得しやすい

大手メーカー系列のディーラーでは、ハイブリッド車や電気自動車、自動制御システムなどに関する最新知識やノウハウを得る機会が豊富に用意されています。

次世代カーの整備業務に携わりたいと考えている整備士には、大手メーカー系列のディーラーが最適な職場だといえるでしょう。

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ディーラーで自動車整備士として働く3つのデメリット

ディーラーで整備士として働くうえで確認すべきデメリットについて説明します。

  • デメリット1. 土・日・祝日に休みを取りづらいことが多い
  • デメリット2. 配属先店舗の異動がありうる
  • デメリット3. 整備業務以外を兼務するケースがある

1. 土・日・祝日に休みを取りづらいことが多い

基本的にディーラーは土・日・祝日は営業日となります。来店者が多く、販売促進イベントなども頻繁に行われるためです。基本的に、整備部門も土・日・祝日が休みとなることはありません。

有給休暇などを使用して休むことは労働者の権利であり、休暇を取りたい場合は休むことも可能です。しかし「上司や同僚のことを考えると、土日や祝日に休みを取りにくい」と感じてしまう人も少なくないでしょう。

ディーラーで働く場合は、家族や友人と一緒に休日を過ごしにくくなることは理解しておく必要があります。

2. 配属先店舗の異動がありうる

ディーラーは、同じ都道府県内に数多くの店舗を展開して運営を行っています。ディーラーの店舗ごとにスタッフ数が決められているため、入社した際に自宅から最も近い店舗に配属されるわけではありません。
また、同一エリア内の他店舗で何らかの理由で欠員が出た場合など、他店への異動を命じられることがあります。

同じディーラーでも、店舗ごとに職場の雰囲気や社員同士のコミュニケーションの取り方などが異なります。そのため、異動によって仕事に対するモチベーションが下がったり、職場の対人関係にストレスを感じたりするケースもあるでしょう。

3. 整備業務以外を兼務するケースがある

ディーラーでは、整備士としての業務を行いながら、同時に接客や顧客へのアドバイス、メーカーとのやりとりなどの業務を担当するケースがあります。

整備士としての知識やスキルだけでなく、ディーラーでの業務に求められるコミュニケーションスキルを向上させることも必要です。

ディーラーの自動車整備士が年収を上げる4つの方法

ディーラーの整備士が年収をアップさせる、4つの方法について説明します。

  • 方法1. 役職ポジションへのキャリアアップ
  • 方法2. 上位資格の取得
  • 方法3. 社内の独自資格の取得
  • 方法4. より待遇のよい企業への転職

1. 役職ポジションへのキャリアアップ

一般の整備士から主任整備士や工場長、サブマネージャー、マネージャーといった役職へとキャリアアップすることで、年収を上げることができます。

キャリアアップのためには、顧客対応やマネジメント業務といった自動車整備以外の業務を担当する必要があります。役職に就くことで職場での責任も重くなりますが、着実に収入を増やすことができる方法です。

2. 上位資格の取得

自動車整備士の上位資格を取得して、担当業務の範囲を拡大すれば、年収を上げることが可能です。難関資格である1級自動車整備士の取得者の平均年収は、2級取得者よりも40~50万円程度高くなっています。
上位資格取得者への資格手当の支給やボーナスへの加算などを実施しているディーラーも、数多くあります。

3. 社内の独自資格の取得

ディーラーが社内で設けている、整備士向けの独自資格を取得することで、収入アップが期待できます。

主な自動車メーカー系列のディーラーが用意している独自資格には、以下のようなものがあります。

ディーラー主な独自資格・検定

トヨタ系列
トヨタサービス技術検定トヨタサービス業務認定トヨタエスティメーション検定
ホンダ系列Honda四輪サービス技能修得制度
スバル系列TS認定
マツダ系列サービス・エンジニア資格サービス・アドバイザー資格
日産系列日産整備士
ダイハツ系列サービス技術検定
スズキ系列スズキサービス技能資格
メルセデス・ベンツ系列サービス・アドバイザー故障診断士システム・テクニシャンメンテナンス・テクニシャン
BMW系列マイスターマスター・テクニシャンシニア・テクニシャン

4. より待遇のよい企業への転職

すぐにでも年収を上げたいと考えている場合には、今の職場よりも給与水準や条件のよい企業への転職を検討しましょう。

転職を考える際には、初年度の給与だけでなく、昇給やキャリアアップ、福利厚生などに関する情報も慎重に確認する必要があります。今の職場で築いてきたキャリアをムダにすることのないよう、入念な企業研究を行い、自身の希望や将来ビジョンに合った転職先を選ぶことが大切です。

ディーラーへの転職時に重視すべきポイント

ディーラーへの転職を検討するうえで重要となる、3つのポイントについて説明します。

  • ポイント1. 給与水準
  • ポイント2. 業務内容や異動頻度
  • ポイント3. 評価・給与制度

1. 給与水準

応募を検討する企業の給与が、他のディーラーと比較して高いかどうかを詳細にチェックしましょう。

まず、現在の勤務先の給与水準が整備士の平均年収に対してどのような位置付けにあるのかを確認します。給与以外の諸条件も具体的に考慮したうえで、自身の希望や目的に合致する転職先の絞り込みを行うべきです。

2. 業務内容や異動頻度

整備業務以外で担当する業務があるかどうか、および担当する他業務がある場合は具体的な内容についても確認します。
また、店舗間の異動の有無や頻度についても確認し、入社後の生活環境をできるだけ明確に想定できるようにすることが重要です。

3. 評価・給与制度

転職以降、実績に応じて収入が上がる明確な評価・給与制度の有無を確認します。

評価・給与制度が整備されていない職場では、転職後の年収アップが期待できない可能性があります。中長期的な視野で求人をチェックして、将来的に満足できる転職を実現しましょう。

ディーラーへの転職を検討する際にはプロへの相談がおすすめ

ディーラーへの転職に関して悩みが生じた際は、自動車整備士の転職に精通したプロへの相談を検討しましょう。

タウ転職は、10万社もの自動車関連企業とのネットワークを持つ転職エージェントです。自動車整備士をはじめとする自動車業界の求人に特化した転職支援サービスを提供しています。

ディーラーの求人選びから提出書類の作成、面接対策、入社後の待遇面の相談まで、整備士の転職をサポートします。
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まとめ

今回は、ディーラーで働く自動車整備士の平均年収をメインテーマとして取り上げました。ディーラーで働くメリットやデメリット、年収を上げる方法、ディーラーへの転職時に重視すべきポイントなどの関連事項についても、解説しています。ディーラーの収入水準や業務の特徴を理解し、自身の希望や条件に合ったディーラーへの転職を実現させてください。

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