2級自動車整備士の資格は3級整備士資格と違い、仕事の幅が大きく広がり、責任ある仕事を任されることも多くなります。
この記事では2級整備士の仕事内容や資格取得までの流れ、難易度、気になる給料事情について解説します。
2級自動車整備士とは?
2級自動車整備士とは、自動車の定期的なメンテナンスや点検、分解、組み立てなどを担う国家資格の一つで、3級と1級の間に位置します。
現在の自動車整備士業務のほとんどは2級を取得するとできるようになるため、自動車整備士資格の中でも最も取得者数が多い資格です。
2級自動車整備士と1級自動車整備士の違い
2級自動車整備士の資格は、ガソリン・ジーゼル・シャシ・二輪の4種類があり、それぞれ専門性が分けられているため、取得する資格によっては一部のパーツに関わる分解・整備ができない場合があります。
一方、1級自動車整備士は種類が分かれておらず、すべてのパーツにたずさわることができるため、2級よりも高度な整備を担当できます。さらに、一般的な自動車だけではなく、電気自動車や自動運転つき自動車など特殊な自動車に対する知見があることの証明にもなります。
2級自動車整備士の資格は全部で4種類

2級自動車整備士の資格は全部で4種類です。
2級ガソリン自動車整備士
2級ガソリン自動車整備士は、ガソリンエンジンで駆動する普通自動車や四輪・三輪小型自動車、軽自動車などを整備できる国家資格です。日本ではガソリン車を使用する人が多いため、2級資格の中でも最も取得者数の多い資格であり、需要の高い国家資格といえるでしょう。
なお、資格の名前には「ガソリン車」とついていますが、実際には後述するディーゼル車やシャシの整備も行えるため、2級整備士資格のどれを取得するか迷っている場合は、「2級ガソリン自動車整備士」を取得することをおすすめします。
2級ジーゼル自動車整備士
2級ジーゼル自動車整備士は、ディーゼル(ジーゼル)エンジンで駆動する普通自動車や四輪・三輪小型自動車、軽自動車などの分解や整備業務を担当できる資格です。
先述したように、ディーゼル車の整備自体は2級ガソリン自動車整備士の資格でも対応可能ですが、2級ジーゼル自動車整備士を取得することで、より専門的な知識を身につけられるため、ディーゼル車を多く扱う職場であれば取得をおすすめします。
2級自動車シャシ整備士
2級自動車シャシ整備士とは、車のエンジンとボディ部分を除いたサスペンションやステアリング、タイヤ、ホイール関連の構成部分であるシャシを整備できる資格です。
こちらも2級ガソリン自動車整備士の資格があれば業務可能ですが、シャシに関する知識や技術をより高めたい場合は取得しておくとよいでしょう。
2級二輪自動車整備士
2級二輪自動車整備士は、二輪自動車や原動機付自転車の基本的な整備を行える資格です。資格を取得することで、二輪車のエンジンやブレーキの部品分解、点検整備、緊急整備、特定整備などの作業を実施できます。
ブレーキやステアリングなどの基本的な整備を行う3級二輪自動車整備士よりも専門的な知識を学べるため、二輪車を扱う仕事であれば資格取得をおすすめします。
2級自動車整備士になるには?

2級自動車整備士資格の試験を受けるための受講条件や取得の流れ、試験概要について解説していきます。
資格試験の受講条件
2級自動車整備士の資格試験を受講するためには、一定の条件を満たす必要があります。ここでは、ガソリン整備士・ジーゼル整備士・二輪自動車整備士の受講条件について、4パターンに分けて紹介します。
- 整備士関連の専門学校や学部出身者でない方:3級自動車整備士の資格を取得した後、3年以上の実務経験が必要
- 整備士3級課程の高校・専門学校を卒業した方:3級自動車整備士の資格を取得した後、2年以上の実務経験が必要
- 機械工学科の大学や専門学校を卒業した方:3級自動車整備士の資格を取得した後、1年6か月以上の実務経験が必要
- 2級整備士課程のある自動車整備系専門学校や認定大学を卒業した方:卒業と同時に受講資格を取得可能
資格取得までの流れ
2級整備士資格の取得の流れは、下記4ステップです。
- 都道府県別の自動車整備振興会で申請を行う
- 自動車整備登録試験を受講して合格する(学科試験のみ)
- 都道府県の自動車整備振興会で「全免申請」の手続きを行う
- 自動車整備士の合格証明書が届き資格取得完了
まず2級整備士を取得するには「日本自動車整備振興会」が実施する「自動車整備技能登録試験」を受講する必要があります。自動車整備士技能登録試験に合格後、全免申請を行った後、2級整備士の資格取得という流れです。
全免申請とは、国土交通省のおこなう検定試験の免除を申請することです。日本自動車整備士振興会が実施する「登録試験」に合格したのちに、国土交通省にたいして全免申請をすることによって、国土交通省のおこなう検定試験に合格したと見なされ、自動車整備士の資格を取得することができます。
試験内容
2級自動車整備士の筆記試験と実技試験の日程や内容は、以下のとおりです。学科試験と実技試験が別日に行われる点に注意しましょう。
学科試験 | 実技試験 | |
費用 | 7,200円 | 14,000円 |
試験日 | 第1回:10月/第2回:3月 | 第1回:1月/第2回:8月 |
試験時間 | ガソリン・ジーゼル・二輪:80分 | 30分 |
出題数 | ガソリン・ジーゼル・二輪:40問 | 3問 |
試験内容 | ・構造/機能と取り扱い方法の一般知識 ・点検/修理/調整と完成検査の方法 ・整備用の試験機/計量器と工具の構造/機能と取り扱い方法 ・材料と燃料油脂の性質と用法の一般知識 ・図面の初等知識 ・保安基準その他の自動車の整備の法規 | ・基本工作 ・点検/分解/組み立て、調整と完成検査 ・一般的な修理 ・整備用の試験機、計量器と工具の取り扱い |
2級自動車整備士資格取得の合格率と難易度
2級整備士資格の合格率・難易度は、先述した4種類で異なり、2級ガソリン自動車整備士では毎年8割以上の方が、2級ジーゼル自動車整備士では毎年9割以上の方が合格していることが分かります。しっかり対策すれば決して合格は難しくないといえるでしょう。
一方で、2級自動車シャシ整備士や2級二輪自動車整備士は受験者数が少ないこともあり、合格率は毎年変動があるようです。とはいえ、7~9割の方が合格しているため、こちらも比較的簡単といえます。
【2級ガソリン自動車整備士の合格率】
【年度別】 | 【受験者数】 | 【合格率】 |
2018年 | 10,624人 | 87.3% |
2019年 | 10,154人 | 84.1% |
2020年 | 10,359人 | 89.8% |
2021年 | 10,420人 | 87.1% |
2022年 | 10,562人 | 88.3% |
【2級ジーゼル自動車整備士の合格率】
【年度別】 | 【受験者数】 | 【合格率】 |
2018年 | 8,277人 | 93.4% |
2019年 | 7,738人 | 90.0% |
2020年 | 7,720人 | 95.5% |
2021年 | 7,838人 | 94.8% |
2022年 | 8,134人 | 96.3% |
【2級自動車シャシ整備士の合格率】
【年度別】 | 【受験者数】 | 【合格率】 |
2018年 | 8,277人 | 93.4% |
2019年 | 7,738人 | 90.0% |
2020年 | 7,720人 | 95.5% |
2021年 | 7,838人 | 94.8% |
2022年 | 8,134人 | 96.3% |
【2級二輪自動車整備士の合格率】
【年度別】 | 【受験者数】 | 【合格率】 |
2018年 | 688人 | 71.1% |
2019年 | 650人 | 68.9% |
2020年 | 617人 | 83.8% |
2021年 | 617人 | 83.1% |
2022年 | 632人 | 73.1% |
2級自動車整備士の資格を取るための効果的な勉強方法とは?
2級整備士の資格を取得する1番の近道は、過去問を繰り返し解く方法です。2級自動車整備士の学科試験問題は過去問を使い回しに出題されているケースが高い傾向にあり、過去5年分の過去問題を解くことで試験の出題傾向をおおよそ把握できるようになります。
なお、2級整備士試験で出題された過去問題は「日本自動車整備士振興会のWebサイト」に公開されていますので、ぜひ一度のぞいてみてください。
2級自動車整備士で給与アップを狙う方法
2級整備士が給与アップを目指す場合には、1級整備士資格を取得するか、条件の良い職場への転職がおすすめです。
1級整備士の資格の取得には、「〇年以上の実務経験が必要」などの一定の受験条件が設けられているため、直近での資格取得が難しいようであれば転職はかなりおすすめです。
現在、整備士の人手不足に悩んでいる企業は多いため、整備士としての一定以上の知識とスキルがあれば、転職が成功する可能性は大いにあります。
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まとめ
2級は整備士の中でも最も取得者が多い資格で、大半の仕事を担うことができるため、需要の高い資格です。
これから自動車整備士を目指す方や、現在3級を保持していて今後整備士としてのキャリアを積んでいきたい方は、まずは2級整備士資格の取得を目標に勉強してみてください。