稼ぎたい! 技を極めたい!! それとも安定したい? 新人さんから独立間近のスゴ腕職人まで、鈑金塗装業界の転職の道は大阪環状線のように幅広い。
職人たちはどんな動機で転職に乗り出し、そして成功させているのか。
この記事ではクルマのリユース25年、工場10万社のネットワークを持つ「タウ」が運営する鈑金塗装職人のための転職サイト「タウ転職」を利用して実際に転職を成功させた人に直撃。
なぜ転職を? 職場はどう選んだ? 妥協した点は?
担当したタウ転職のキャリアアドバイザーのコメントとあわせて、鈑金塗装職人さんの転職事情を根掘り葉掘り聞いてみた!
PROFILE
▼ タウ編集部
▼ 担当キャリアアドバイザー:Sさん
今回のインタビューを受けてくださった加藤さんを実際に担当。優しくも時にシッカリと伝える実直な性格で多数の実績を上げている。好きな車種は「スバル BRZ」。
クルマが好きで鈑金塗装職人になって28年
本日はインタビュー受けてくださりありがとうございます!早速ですが、ご年齢・性別・ご経歴を教えてください。
年齢は51歳。塗装工としての履歴は28年目になります。
28年!熟練ですね。
途中、数年の空白期間があったんですけどね。ずっと塗装の作業に従事してきました。
なぜ、板金塗装職人の世界に?
ひとことでいうと、クルマが好きだったからです、特にスポーツカーが好きで。
愛車はレガシィなんですが、自分の車を自分で直せたら良いな、という気持ちもあってはじめました。私のような職人は多いと思いますよ。でも働き出したら、忙しくてなかなか自分のクルマにかける時間がとれなかった(笑)。
業界あるあるですね(笑)。転職していまはどんな職場に?
2023年12月から「スーパーカーテンダー九州」という修理工場に勤務しています。
担当キャリアアドバイザーからコメント!
「スーパーカーテンダー九州」は福岡・佐賀エリアの自動車修理を承る施設です。広大な敷地面積(約3,800坪・テニスコート50面分)で車の修理・買取・販売・整備・車検・解体がワンストップで可能。修理にはタウのリサイクルパーツも使用されているんですよ!
前職は最高の職場だった!?
いままでどんな工場で働いてきましたか。
いままでに転職を4回してきました。エリアは日本の北のほう。札幌の工場にいたこともあります。前職は、仙台にある大きめのディーラーの子会社で働いていました。
勤務先は工場ですか?
いえ、自動車販売店の展示場に併設されている修理コーナー、という感じでした。店舗内に工場がなくて、展示場の一角で仕事をするというスタイル。
板金工は私を含めて二人で、宮城県内の店舗から声がかかってヘルプに行くこともありました。
担当キャリアアドバイザーからコメント!
「ディーラー」は給与水準が高い・評価制度が整備されている企業が多い・最新の整備スキルを習得しやすい・スキルアップのための教育や研修制度が豊富・福利厚生が充実しているなど、魅力的な職場です!
いっぽうで、土日や祝日に休みを取りにくい・店舗の異動が多い・取り扱う車種が限定されるなどの点でデメリットを感じる職人さんも。
ディーラーは給与が安定している傾向がありますよね。
そうですね。相場よりもやや高めだと思います。加えてインセンティブ制度があって、台数をこなすほど給与が上がるシステムだったので、やりがいがありました。
インセンティブがあるんですか! それはやる気が出ますね。職場内の人間関係は?
立場や年齢によって上下関係がなく、ストレスも少ない雰囲気でしたね。いままで勤めてきた職場のなかには、ひどいパワハラがあった工場もあったんです。だから前職は自分に合っていたと思います。
めちゃくちゃ良い環境じゃないですか……。でも、転職したんですよね?
転職のきっかけは「あの事件」
どうして転職を?
転職を考え始めたのは、前職に勤めて1年ほど経った時期。きっかけは昨年に自動車関連企業が起こした事件です。マスコミで大きく取り上げられたこともあり、その影響で私が勤めていた会社でも組織の見直しが行われました。
そんなことがあったんですか。
その結果、インセンティブ制が廃止されて固定給に変更されました。提示された給与は、私がいままで稼いでいた額より明らかに低かったんです。
私の毎月のインセンティブ額を説明して交渉したのですが、面談した担当者さんが「すでに稟議は通っているから変更できない」と……。それで転職を検討しはじめました。
かなり給与が下がる結果になってしまったんですね……。せっかく良い環境だったのに、残念ですね。
タウ転職に登録いただいたのも、そのタイミングですか?
はい。2023年10月の半ばのことです。
まずは検索エンジンに「自動車 求人 板金」といった条件を入れて、表示された求人を通して転職サイト5~6社に登録しました。そのなかにタウ転職もあったんです。
登録してすぐに連絡がきました。他のサイトはLINEなどの文章でのやりとりでしたが、タウ転職だけ「電話」がかかってきたのでよく覚えています。
キャリアアドバイザーからの電話ですね。どんなことを話しましたか。
求めている雇用条件や、仕事をするうえでこだわっていることについてです。
給与だけでなく、休暇、人間関係や勤務地なども。家にいるより会社にいる時間のほうが長いわけですから。
担当キャリアアドバイザーからコメント!
加藤さんと最初にお話しさせていただいたときは、まだ前職に在職中でした。転職の意志は持っているものの、まだ転職活動は求人を見始めたばかりという段階。そうしたケースでは、ざっくばらんにお仕事の価値観やお人柄を伺って広めに求人を提案していくのが「タウ転職」のスタイルです。
ヒアリングは電話もメールもLINEもご都合の良い方法で対応します!
もっとも重視したことは?
やっぱり人間関係です。特にパワハラのない環境を第一に考えました。板金塗装は職人仕事ということもあり、上下関係が厳しい気質の人が集まっていることもしばしば。その話のなかで、いま勤めている「スーパーカーテンダー九州」の募集の話をいただいたんですよ。
いきなりですね!一回目の電話で案内された募集だったのですか。
ええ。給与はインセンティブのない固定給ですが前職よりも高く、許容範囲でした。また、企業の体制もしっかりしていてハラスメントも起きにくそうでした。何より新築の工場のオープニング(23年12月オープン)で先輩・後輩の関係性がないことが私にとっては魅力的でした。
人間関係を心配せずに仕事に集中できる環境だった。
その通りです。
もうひとつ大きな魅力だったのは、工場が新築で設備が最新だったことです。「スーパーカーテンダー九州」では水性塗料が扱えるんですよ。
扱える塗料の種類って、職場選びのポイントになるんですか?
大事なポイントですよ。
いままで板金塗装で使う塗料はシンナー系がメインでしたが、近頃になって水性塗料が使われてきていますよね。私もずっとシンナー系を使ってきて、水性塗料は未経験でした。職人にとって、新しい塗料を習得できることは大きなメリットです。
担当キャリアアドバイザーからコメント!
鈑金塗装の世界はいま変化の最中です。近年では溶剤塗料から水性塗料にシフトしているだけでなく、素材も超高張力鋼板・アルミ・樹脂パーツの活用がはじまっています。
職人さんの腕を磨く要素がどんどん生まれており、スキルアップを転職の動機にされる方も多くいらっしゃいます。
とても魅力的な条件だったんですね。
条件がそろっていたので、すぐに応募しました。1週間ほどで面接が決まり、ほかにも数社応募していたのですが、結局面接したのは「スーパーカーテンダー九州」だけでした。
転職でこだわったコト・妥協して良かったコト
面接のときに気をつけたことは?
やはり、自分が譲れない条件をしっかり伝えることです。私の場合は人間関係と職場環境。「コンプライアンスが守れない会社では働きません」ということ。
タウ転職のキャリアアドバイザーが同席してくれたので、話もしやすかった。そのまま内定をいただいて転職、今にいたります。
条件提示もスピード感もあって、理想的な転職だなあ……。あえて伺いますが、今の職場に決めるにあたって悩んだ点はありますか?
もちろん妥協したところもありますよ。ひとつは「場所」です。私がずっと勤めてきた職場は東北や北海道ですが、「スーパーカーテンダー九州」は佐賀にあるんです。
たしかに、かなり遠いですね!
はい。最初は自宅近くの宮城県内で職場を探していましたが、佐賀は全然経験のない土地でした。
ということは、面接時の職場見学もできませんよね。
新築の工場ですから、見学できないことは事前にわかっていたんです。その分、キャリアアドバイザーさんや面接担当の方に設備や職場環境については納得いくまで聞きました。そのうえで「引っ越してでも働きたい職場だ」と思えたから転職しました。今は楽しいですよ(笑)。
担当キャリアアドバイザーからコメント!
面接のときは「いつもの加藤さんのままで!」とアドバイスしました。プライドが高い方も多い職人さんのなかではすごくフレンドリーな方ですから、そのお人柄が伝わるように。
ご本人の高いスキルの説明だけでなく、前職では後輩の育成をしていた経験もしっかり話すようお願いしました。自動車業界を理解して求職者様のアピールポイントを整理するのもタウ転職の仕事です。
佐賀への転居をご提案したときは受け入れていただけるか少し不安でしたが、結果的にお役に立てて本当に良かったです。
鈑金塗装の職人さんが転職するうえで「ここは外すな!」というポイントはありますか。
うーん、そうですね……。すべてが希望通りになる転職って、ほとんどないと思うんですよ。だからまず優先度を決めて、必要なものをハッキリさせたほうがいいと思います。お金なのか、人間関係なのか。職人にもそれぞれ年齢もスキルもあると思いますし。そのうえで、キャリアアドバイザーや企業担当者にくまなく相談することです。
◇◇◇
紆余曲折を乗り越えて、新しい土地で自分の職場を見つけた加藤さん。経験を最大に活かして、スピーディに希望を叶えることができた理由は、譲れない条件をガッチリ決めてブレさせない(そして妥協できるところはキッパリと妥協する)という、芯を持った行動ではないだろうか。
すべての職人さんに共通する転職戦略と言えるだろう。
しかし、誰もが自分の譲れない条件をすぐに決められるものではないかもしれない。そんなときは、自動車業界の転職事情やスキルに精通し、転職にあたっての気持ちの整理も得意な【タウ転職】のキャリアアドバイザーに連絡を!